『いつもの毎日。』 松浦弥太郎 ベーシックなモノを通じて見つめるていねいな暮らし方

いつもの毎日。 いつもの毎日。
 著者:松浦弥太郎
 初版:2010年7月
 出版社:KKベストセラーズ

【あらすじ】内容(「BOOK」データベースより)
 『暮しの手帖』の編集長であり、書店店主、文筆家としても活躍する著者が伝えたい、日々の生活で大切にしたいこだわりや、ものへの変わることのない価値観、そして、他人へのちょっとした心遣い。人生を豊かにする実用エッセイ集。

【レビューコメント】
 個人的にも大好きな物書きである松浦弥太郎さんの、愛用のモノに関するエッセイ集です。この手のエッセイを松浦弥太郎さんはいくつか手掛けられていますが、本書は「愛用のモノを通じて生き方を提案する」というスタイルが貫かれている気がします。
 松浦弥太郎さんの愛用の品々は、やはりシンプルでトラディショナルなベーシックなもの。そのモノやブランドの背景を詳細に記しているわけではなく、サラリと(いつもの松浦弥太郎さんらしく)紹介されています。

 本書『いつもの毎日。』の目次は以下の通りです。

【目次】
第一章 「衣」のこと ~自分らしくいるためのワードロープ
トラディショナルから学ぶこと、シャツ、ジャケット、ジーンズとパンツ、腕時計、靴、コート、雨の日の装い、パジャマ、鞄、セーター、眼鏡、ハンカチ、帽子やマフラー、手袋、値段とファストファッション

第二章 「食」と「住」のこと ~毎日の生活を豊かにする工夫
家族のこと、個室のすすめ、リビングのルール、テーブルと椅子、マグカップと食器、お茶碗とお箸、お弁当箱とお鍋とやかん、朝ごはん、スリッパ、一生つきあえる店をもつ、オーガニック、花と花瓶、ベッドと枕

第三章 「仕事」のこと ~働くうえで考えるルールと作法
つねに先手を打つ、デスクまわり、ごみの行方、手帳とスケジュール、文房具、手紙のルール、打ち合せとモチベーション、おみやげ、 「つもり」をやめる、名刺、財布、スーツケース

 ここ半年ほどすすめてきた自分なりのファッションスタイルの確立には、第一章を参考にさせて貰いました。もちろん、全く同じものを揃えるのは非現実的なので、僕は僕なりに自分自身の考える「ベーシックなモノ」を探し求め、身につけるように心がけています。

 個人的に一番考えさせられたのが第二章の食と住に関するところ。
 僕は未だ未婚ですし、しばらく家庭を持つということも恐らくなさそうなので、これまでの「他人との暮らし」を思い浮かべながら、「家庭」というものを考え、文字を追っていました。

 松浦弥太郎さんは奥さまと娘さんとの三人暮らし。気になったのは、お茶碗とお箸、ベッドと枕、個室のすすめの項です。
 お茶碗とお箸は家族皆同じものを使い、お茶碗は小ぶりなものを・・・。足りなければお代わりをするというスタイル。僕の家は茶碗やお箸はそれぞれ専用のものが用意されていました。シンプルライフという点では、家族皆同じものを使うという事は非常に理にかなっています。さらに、「小ぶりなお茶碗」というところは、「食べ物を粗末にしない」という観点からも非常に大切にしたいところです。
 このような合理的でシンプルなライフスタイルは、ベッドと枕にも当てはまっていて、松浦家のベッドはセミダブルで統一され、カバーなどは共有とのこと。

 最後に、個室のすすめの紹介をします。
 僕たちは仕事(会社)、家庭でのそれぞれの役割など、さまざまな「顔」をもっています。松浦さんは、それらの「顔」をつくらなくても良い場所として個室の大切さを説いています。
 個人的に感じる本当に理想の家庭というか関係は、例え六畳一間だけで一緒に暮らしていても、お互いがそれぞれ家族の顔と個人の顔を境目無く持っていられるカタチでしょう。しかし、それはお互いを本当に信頼し合った(理想的な)熟年夫婦のようなカップル夫婦間くらいしか、実現不可能でしょう。子供に、家では常に「子供の顔」をしなさいということは、無理な話で息が詰まってしまいます。

 今回紹介した松浦弥太郎さんの『いつもの毎日。』は、商品やブランド名がサラリと紹介されていますが、決してカタログ的な本ではありません。松浦弥太郎という一人の人間が経験してきたなかで見つけたベーシックでトラディショナルな生き方が、モノを通じて紹介されています。
 松浦弥太郎さんの本は全てそうなのですが、クドクドしくなく「あたりまえ」のことがサラリと記されているのに、何故かいつも手元に置いて読み返したくなります。
 僕が何時か家庭を持ち、誰か好きな人と暮らすようになっても、時々本書をめくり、「暮らし方」を見つめ直していきたい、そう思わせてくれる良書です。

いつもの毎日。衣食住と仕事 Kindle版(集英社文庫)

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