漫画『深夜食堂』 安倍夜郎 心の傷を懐かしい料理で癒してくれる食堂

深夜食堂 1 (1) (ビッグコミックススペシャル) 深夜食堂 1 (1) (ビッグコミックススペシャル)
 作家:安倍夜郎
 出版社:小学館
 初版:2007年12月

【あらすじ】
 営業時間は深夜0時から朝の7時頃まで。
 メニューは豚汁定食にビール、酒、焼酎…それだけ。あとは勝手に注文してくれりゃあ、できるもんなら作るよ。
 あなたの腹と心の満たし処。

【レビュー】
 数ヶ月前、行きつけの本屋で平積みにされていて手に取った安部夜郎さんの『深夜食堂』。グルメ漫画は結構好きなので、試しに購入して読んでみたら…はまった…そして、不覚にもうっすらと涙してしまった。

 舞台は恐らく新宿の花園辺り…少しいかがわしく怪しげ、でもある意味一生懸命「生きている」人々が「静かに」寄り添っている雰囲気の街。そこに深夜から朝方まで営業している通称「深夜食堂」はある。
 店主は左目の周りに傷をもったオヤジ。
 お客は暴力団の組員、年老いたゲイバーのママ、風俗嬢、売れない演歌歌手、イケメンの医者に一目惚れした肥満の女、美人のニューハーフに惚れた男、ストリップ嬢、引退間際のボクサー…。
 オヤジが手掛ける料理は、注文されて出来るものは何でも。赤いタコウインナー、きのうのカレー、猫まんま、牛すじ大根玉子入りおでん、カツ丼、ナポリタン、インスタントラーメン…

 夜の街新宿で仕事を終えた心に傷を持った人々が、どこからともなく深夜食堂を訪れ、オヤジに様々なリクエストを投げ掛ける。素朴な料理を食べ、酒を飲み、知らない隣同士会話を交わし、昔懐かしい料理に自分のこれまでの人生を重ねていく…。

 基本的に一話完結のこの漫画。安上がりでB級グルメまでいかない「素朴な家庭の味」を提供する深夜食堂の懐かしいメニューの数々。心に何かしらの傷を抱き、オヤジの懐かしい食べ物を味わい、深夜に訪れている他の客との会話で互いの傷を確認し癒し癒される。

 こんな食堂に行ってみたいな…とは思うけれど、多分こんな食堂は、案外、自分の生活圏内の隅っこに何処にでも佇んでいるのだろう。自分が気づかず足を踏み入れていないだけかもしれない。

 最後に、第一巻の最後に記されている二巻の紹介文を紹介する。

 残業だらけで疲れた人も、恋に破れて泣いている人も、夢つまずいて落ち込む人も、日々の楽しみ見失っている人も、仕事に追われ続けている人も、上司に恵まれず愚痴りたい人も、幸せを感じて舞い上がっている人も、
 お腹を満たされ、心も満たされ、みんな笑顔で帰って行く街の片隅の癒し処。
 深夜食堂

 グルメ漫画好き云々言わず、そう、傷ついた人々を癒してくれる事間違いない…それが漫画『深夜食堂』。誰かに作ってもらった料理を美味しく食べる事が出来るのは、人生最大の喜びかもしれない。

深夜食堂 1 (1) (ビッグコミックススペシャル)

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2009-03-21 | Posted in 日々のこと, 食のこと, , , Comments Closed