『非属の才能』 山田玲司 和をもって属さず 協調性と同調性の違い

非属の才能 (光文社新書 328) 非属の才能 (光文社新書 328)
・「空気が読めない奴」といわれたことのあるあなた
・まわりから浮いているあなた
・「こんな世の中おかしい」と感じているあなた
・本当は行列なんかにならびたくないと思っているあなた
・のけ者になったことのあるあなた
 おめでとうございます。あなたは”非属の才能”があります。

 本書は、『Bバージン』や宮藤官九郎と共に『ゼブラーマン』で大人の問題に取り組んだ漫画家・山田玲司さんの一冊。
 「非属」という言葉に引っかかり、表紙を捲った1ページ目に上記項目が箇条書きされていて、即購入に至った。よく考えてみれば、上記項目には誰でも何かしら引っかかる(思い当たる)節があるものだけれども、個人的に共感できそうだったので読破した。

【目次】
はじめに 「みんなと同じ」はもうやめよう
第1章 誰のなかにも「プチ佳祐」がいる
第2章 ブルース・リーになる試験はない
第3章 定置網にかかった人生でいいのか?
第4章 「変わり者」が群れを動かす
第5章 非属の扉をこじ開ける方法
第6章 独創性は孤立が作る
第7章 和をもって属さず
おわりに 「みんなと違う」をはじめよう


【書評】
 個人的に期待して読み始めたのですが、少々その期待を裏切る内容。厳密に言えば「内容」よりもプロットの構築の仕方が少々「強引」な感じが否めない。

 第1章・2章は長嶋茂雄さんやブルース・リーやフォレスト・ガンプ等の様々なエピソードを絡めて、群れに属さない人間の成功例を挙げているように感じるのだけれども、残念ながら彼らの「凄さ」に共感を抱くことが出来ないので少々興ざめ感が否めない。
 著者が触れているのは、受験戦争や親の思いこみから来る「勝手な」人生レールの提示云々が、子供の「非属」化を妨げている云々である。それはそれで納得するのですが、少々強引。
 この流れは、第5章くらいまで続く。例に挙げられている(「非属」である)人物について大方知っているのですが、「だから?」としか残念ながら感じない。

 本書の肝は第6章『独創性は孤立が作る』からだろう。
 引きこもり人間が「甘え」という認識について疑問符を付けて話は進んでいく。読書(もちろん音楽でも良い)を積極的に勧めて、マスコミュニケーションの代表格であるテレビは「一切見るな」と説く。「非属」の感覚を研ぎ澄ますのは読書であり、それを妨げるのは万人向けのテレビ番組という流れだ。
 
 そして、「誰ともわかり合えないんだ」とうい「非属」の感覚を大切にして欲しいと説く。

 この「誰ともわかり合えない」という感覚は、個人的に既に感じてるし持ち合わせている。それは初めから抱いていたものではなく、様々な人間関係に触れてきて防御反応的に身につけてきた、ある種空虚な感情だ。
 
 ここまで読んでいると、引き合いに出す人物も相まって、下手すると「非属=非凡人=天才」とうい構図が描かれてくる。どのように最後を締めくくるのであろうかと思っていたら、最後第7章に行き着く。

 第7章『和をもって属さず』では、非属化した人間が陥る危険な病に触れている。

同調しないのはいいが、協調もしないような人間は、猫くらいしか話し相手がいなくなってしまう。

 危険な「自分病」は以下の通りだ。
・「私は変わっているんです」病 
 普通は格好悪いと思っている人は、変わっていることこそが格好いいと思いがち。
・「自分はいつも正しい」病
 自分自身の内面と向き合い、構築していくことは重要だけれども、何の検証もなく感覚だけで物事を見ていてはいけない。
・「メジャーだからダメ」病
 ひねくれ精神が生み出す病。
・「俺は偉い」病
 「誇り」と「プライド」は違う。

 結局、非属化するあまり自分しか見えなくなり、変な妄想や幻想を抱いてしまう危険性を注意している。これら病を克服する方法として「俯瞰」や「対極的見方」を勧めている。

 そして、最後に登場してくる言葉。

 「和をもって属さず」
 
 キーワードは「分かち合うこと」。前述と当てはめれば、「和=協調」であり「属=同調」であろう。「協調」は利害や立場などの異なるものどうしが協力し合うことであり、「同調」は他に調子を合わせること。

 個人的に、日本人に馴染みのある「和」と「属」の違いを明確化してくれたことに感謝したい気分だ。皮膚感覚的に微妙な違いかもしれないけれど、全く別物であると、改めて感じた。

 「和をもって属さず」
 素敵な言葉です。

 最初は様々な人物の生き方を引き合いに出して少々押しつけがましい感じがしたのですが、最後の最後に素敵なコトバに出会えたのは嬉しい限り。
 出来れば、中高生辺りに是非読んで欲しい一冊です。さらに、様々な「経験」を積んで錆び付いた大人(団塊の世代は特に)にも触れて欲しい内容でもあります。

非属の才能 (光文社新書 328)

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2008-01-12 | Posted in 心のこと, , Comments Closed