松浦弥太郎『最低で最高の本屋』 就職しないで生きるには 最低で最高の人生とは

最低で最高の本屋 (仕事と生活ライブラリー) 最低で最高の本屋 (仕事と生活ライブラリー)
 著者:松浦弥太郎

 本書は『仕事と生活ライブラリー』シリーズの一冊であり、根底に「就職しないで生きるには」というメッセージが緩やかに流れている。
 著者である松浦弥太郎さんは、現在、古本屋COWBOOKSのオーナーであり、雑誌『暮らしの手帖』編集長としても活躍されている方。

目次
第一章 エムカンとは(一)
第二章 エムカンとは(二)
第三章 自由について
第四章 書くこととつくること
第五章 最低で最高ということ
第六章 スタンダードと新しいこと
対談 岡本仁 x 松浦弥太郎

 著者である松浦弥太郎さんに関しては、別エントリー『本業失格』で簡単に紹介させて頂いた。本書では、松浦さんの生い立ち等多少被る箇所があるけれど、主として「生きることと仕事」について記されている。


 第一および第二章では、息苦しかったニホンを離れてサンフランシスコやニューヨークに渡り、あてもなく彷徨ったり古雑誌を道ばたで売ったり…という経験談が語られている。
 章タイトルにもなっているエムカンとは、お洒落なヴィジュアルブックを売っていた当時名乗っていた「m&company booksellers」、その後のトラックで移動式本屋を実現させた「m&company traveling booksellers」から名付けられている。お洒落な「中目黒系」と括られ、「オーガニック」的キーワードが界隈に漂っていた頃の話も綴られている。

 第三章では、若い頃に思い悩み「正しく生きる」ことについて試行錯誤していた事が記されている。その後「社会との関わりの中での自由」こそ「自由」であると思うようになったと記されている。
 確かに「社会との関わりの中で」というフレーズは大切だし、ある種の重みすら感じられる。しかし、それにガチガチに縛られていては、「自由」どころか「窮屈」な生き方となってしまう。バランス感覚が求められる…難しいポイント。

 第四章では、文筆家と編集者としての松浦さんの考え方が記されている。

 さて、第五章。「最低で最高」とは何なのか…。この言葉は高村光太郎の詩のタイトル(最低で最高の道)からとられたそうだ。

光があれば必ず陰があるように、どんなことにも「最高」の面だけじゃなくて「最低」の部分があって、両方がバランス良くあることがいちばん正しいことだって何となくわかった。人間が誰しも持っている偽りの部分、弱い自分は人に見せちゃいけないし、自分でも認めちゃいけない。なんとかごまかして表に出してはいけないという考え方が間違っているときづきました。世の中のことも、自分の心のなかにあることも、すべて受け入れるということが、最低で最高の生き方なんだとわかったんです。

 素直な語り口で文字にされると、改めて「生き方」について考えさせられるところがある。心にじんわり染みてくる。

 第六章では、ヴィジュアルブックスやオールドマガジン(例えば『LIFE』)、そしてCOWBOOKSのお話。そして最後はマガジンハウスの雑誌『relax』(現在休刊)の元編集長岡本さんとの対談。COWBOOKSの今後や将来のことについても記されている。

 
 本書の感想を記そうと思っても、なかなかタイプできない。
 自分の人生にも確実にドロップアウトした時もあったし、それによって物事を恐ろしいほど俯瞰するようになった。人に言えないこともあるし、現在も順風満帆な人生と言える状態でもない。
 そんな今の現状を、心の中では整理できているのだけれども、生き方云々で言葉(文章)として記すことに躊躇いを感じるのは、経験の無さか、実はある意味噛み砕いて受け入れていないからかもしれない。

 最後に、松浦弥太郎さんにとって鍵となる作品をいくつか取り上げたいと思う。
就職しないで生きるには レイモンド マンゴー(Raymond Mungo)
高村光太郎詩集 (新潮文庫)
北回帰線 (新潮文庫)

最低で最高の本屋 (仕事と生活ライブラリー)
 仕事と生活ライブラリーには、その他にも参考となる様々な方が記されている著書がある。
松浦弥太郎 『本業失格』 手探り感覚で探る生き方

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2007-11-16 | Posted in 心のこと, , , , , , , , , Comments Closed