嶋浩一郎 『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』 モレスキン活用法と情報の放牧とブログのタグ付け

嶋浩一郎のアイデアのつくり方 (ディスカヴァー携書 3) 嶋浩一郎のアイデアのつくり方
 情報を全て平等に扱い羅列し、放牧することによって生まれるカオスから素敵なアイデアが生まれる。本書を読んで感じたことは、情報の「放牧」と「交配」は、ブログにおけるTaggingと非常に似ていることだ。

 アイデアを生むには、まず多くの情報を集めることが必要だ。しかし、集めた情報を整理してしまってはいけない。雑多なまま「放牧」しておくと、予想外の「交配」が起こり、すごいアイデアが生まれることになる。多くのすぐれた広告を創ってきた気鋭のクリエイターによって、情報収集からアイデア発想まで具体的なコツと道具を詳細に語られている。

 ちょっとした用事があって横浜駅の有隣堂に寄った際、Moleskineのダイアリーをチェックしていると目に飛び込んできた本書。書店のポップで「MOLESKINEの活用術が詰まってる!」的な言葉が紹介されていた。値段もお手頃だったので、モレスキン・ダイアリー2008コレクションの限定版である赤いスケジュール+ノート使用と一緒に購入した。


【レビュー】
 著者は整理整頓が苦手だそうだ。そんな机の上が散らかった話から、これまでの整理整頓方法である情報の「分類コントロール型」について触れている。この「分類コントロール型」は、所謂情報をファイルやフォルダに収め整理していくやり方だ。これまでの高度経済成長時代にはこの手法が有効であり、迅速に仕事や生活が流れていたと記されている。
 この「分類コントロール型」に変わるこれからの手法が、「情報の放牧」。ノーベル賞受賞者の言葉からアイドルやAV嬢の話まで全て「平等」に扱い羅列し、ノート(本書ではモールスキンを推奨している)に「放牧」していく。

 ここまでの流れを読んでいて気づいたのが、PCの世界とネット(厳密にはブログ)の世界における情報の扱いについてだ。
「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書) 「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)
 詳しくトレースしていないので申し訳ないけれど、「分類コントロール型」を少し発展させ「時系列」形式での整理法を提案した超整理法。確か書類ファイルやPCのフォルダを時間列で整理し、押し出し形式で情報の波に立ち向かっていく内容だったと記憶している(間違っていたらごめんなさい)。

 これら「超」整理法に代表される整理整頓方法に対して、「分類コントロール型」ではなく「放牧」を推奨し、そこから新しいアイデアを生み出そうという考えが本書『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』だと思う。

 情報を全て平等に扱い放牧することにより、一見遠く離れた「情報」が「交配」し新しいアイデアが生まれてくる。このような情報の放牧から生まれる交配は、ブログにおけるtaggingが当てはまると思う。

 従来のPCおよび検索の世界では、ファイルやフォルダの名前、Webではページのタイトル、さらに記事の内容(PCでは全文検索、Webでは検索エンジンを利用していた)が重要であった。少なくとも、「情報を探す」という点において。
 しかし、ブログのタグによる整理は「探す」というよりも「交配・結びつける」意味合いが大きい。もちろん、ブログでもブログや記事のタイトル、記事内容の言葉がキーワードとなる。さらにブログのCategoryも訪問者の誘導という面では大切だ。これとは対照的なのがタグによる整理だ。

 エントリー記事にタグを付けておくことで、意外な情報の交配が生まれる。このブログでも積極的にタグ付けしているのはこの意外性を自分自身の中で生み出したいからだ。

 アイデアを生み出す、情報の「交配」とブログの「タグ付け」は非常に似通っていると思う。

 さて、ここまでは情報の整理に対する考え方について、本書を読んで感じた事柄だ。エントリーが無駄に長くなっても収拾がつかなくなるだけなので、本書で紹介されている具体的な情報「放牧」方法について記す。

・情報は差別せず、付箋を貼りまくる
3M ポスト・イット フラッグ 透明スリム見出し・エコノパック 9色混合 4.4×0.6cm 680MSH 3M ポスト・イット フラッグ 透明スリム見出し・エコノパック 9色混合 4.4×0.6cm 680MSH
 ポストイットの透明板を利用することで、気になった情報を覆い隠すことなくチェックできる。
 ポストイットは、当然、書籍の場合はドッグイヤーよりも綺麗に、そしてリサイクル可能でエコである点でも素晴らしいツールだと思う。

・一軍と二軍ノートを用意
Moleskine Large Squared Notebook Moleskine Large Squared Notebook
 書籍の場合はポストイットを貼ることにより気になる情報をチェックできるが、テレビや会話等では付箋を貼ることは出来ない。その際には二軍ノート用として別にモレスキンを用意し、気になる情報をメモしていく。その際には情報ソースも合わせて記すと便利。
 付箋や二軍ノートでチェックした情報を一ヶ月寝かせて、一軍ノート(こちらもモレスキンが推奨されている)に放牧していく。溜まった情報は時間が空いたときに眺めれば、全く別物と思っていた情報が「交配」し繋がっていることが分かる。

 個人的には、一軍ノートはモレスキン(何しろ丈夫だ)を利用し、二軍ノートとしてはRHODIA(ロディア)のsquareなメモブロックの方が便利だと思う。簡単に切り離せるし持ち運びも簡便だから。ここら辺は好みの問題でしょう。

ペリカン ペリカーノJr - Pelikan Pelikano Junior - ブルー 万年筆 ペリカン ペリカーノJr – Pelikan Pelikano Junior – ブルー 万年筆
 ドイツの小学生が小学校で初めて万年筆で文字を書く際に利用されるらしいペリカンのペリカーノ・ジュニア。プラスチック製でお値段もお手頃。個人的に万年筆を使ったことがないのですが、ちょっと考えてみたいかもしれない。現実的はパイロットの0.5mmペンだと思うけど。

 最後は本書で触れられている文房具の紹介で終わってしまったけれど、嶋浩一郎さんの『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』はモレスキン好きな方、そしてモレスキンの利用方法に迷いがある方にオススメです。もちろんMoleskineではなくて普通のノートでも十分に情報の「放牧」が可能であり、新しいアイデアを生み出すことが出来ると思いますが…。

 個人的にはモレスキンの利用方法だけではなく、本書を読んで「情報の放牧」と自分が実践してきた「ブログのタグ付けによる情報整理」が繋がっただけでも嬉しい。さらに、個人的にいくつか新しいアイデアが生まれてきそうだ。その時はエントリーに様々なタグを付けて紹介していこうと思う。

嶋浩一郎のアイデアのつくり方

2007-10-04 | Posted in 技のこと, , , , , , Comments Closed