松浦弥太郎 『本業失格』 手探り感覚で探る生き方

本業失格 (集英社文庫 ま 17-1) 本業失格
 作者:松浦弥太郎

 最近では雑誌『暮らしの手帖』編集長として、そして中目黒のCOW BOOKSの創業者の一人としても知られている松浦弥太郎氏の「本にまつわる」etcな作品。

 残念ながら現時点では未だCOWBOOKSに訪れたことはないのだけれども、ヴィジュアルブックが豊富でカフェ的要素も持ち合わせている素敵な古本屋さんという事は知っています。

 本書『本業失格』は、そんな新しい古本屋を立ち上げた松浦氏の本にまつわる様々なエッセイが詰まった一冊。高校生の時に取り囲む体制と秩序に苦しくなり、「アメリカには自由と希望があるはず」と単身サンフランシスコに渡航する。英語が話せないので話さなくても良く、何時間でも居られて、好きな本に触れられる…自然と本屋に脚が向かったそうである。


 サンフランシスコ、ニューヨーク、神保町…それらの街と大好きな本にまつわる(良い意味で)軽めの文章は、読んでいて爽快で、自分があたかもその街に行ってブックハントしている気分にさせてくれる。本屋の開業時での話では、読み手である自分も色々妄想が膨らみ、楽しませてくれる。

 自分自身の立ち位置を見つめ直して、今後の人生をどう歩んでいくか考える。そういった事の繰返しで自分の生き方が年輪のように積み重なり、広がっていく。誰しもが体験することであり、そして今現在の自分自身にも投げかけたいこと。

 生きた人間による生きた体験。本書に触れて、小さいながらも何かしらの生きるヒントを得られたような気がする。それは幻想かもしれないし松浦氏の軽快な文章に酔わされているのかもしれないけれど、自分自身にとっては大きな事だったりもする。

 青臭く感じるかもしれないけれど、カラッとした渇いた雰囲気の中に自らを放り込み、渇いて得体の知れない想いをぶつけてみたい。そんな気分にさせてくれる素敵な作品。

本業失格
松浦弥太郎
COW BOOKS

Ad

2007-07-14 | Posted in 心のこと, , , , , , , Comments Closed